寛永通宝「島屋銭」

 島屋銭
3.3g 25.2mm
 通常の背文銭
3.4g 25.0mm

 寛永通宝は、寛永13年(1636)から明治3年(1870)ころまで、全国で発行されました。 研究家はその種類を調べ、2000種類以上に分類しています。 数百億枚も発行されていますから、その殆どはよくありふれたもので、コイン店でも1枚100円前後で販売されています。
 しかし、存在数が希少なものは、1枚が数万円、数十万円もするものもあります。 その代表例が「島屋銭」とよばれるものです。
 島屋銭は、寛文8年から江戸亀戸で発行された裏面に「文」の文字がある通称「背文銭」の一種です。 銭文の文字を書いたのが島屋某だというので「島屋銭」の名がついています。
 上の2枚の寛永銭のうちの左が島屋銭で、右はごく普通の背文銭(「正字背文」)です。 おおよそのカタログ値は、
   「島屋文」ー島屋銭のうち裏に「文」の文字があるもの 25万円以上
   「島屋無背」-島屋銭のうち裏に文字がないもの 1.5万円以上
   通常の背文銭 100円以上
となっています(「日本貨幣カタログ」による)。 なお、上の画像の品は、「島屋無背」です。
左・島屋銭、右・通常の背文銭  島屋銭の方が彫りが深い

 島屋銭の特徴は、
  ・文字の彫りが深く、横からみると、文字がそそり立っています。
   (⇒右図)
  ・書体状の特徴としては、
   すべての文字の字画の跳ねや反りに勢いがあります。
 具体的な書体状の特徴を下に一覧します。 特に、寛字が押しつぶされたようになっており、通頭が(「コではなく)「ユ」になっているのが最大の特徴です。

 島屋銭   
冠が外輪より離れる。
見の目画が押しつぶされたようにみえる。
  
ノ爪が大きい。

  
通頭が「ユ」となっている。
辵の先端部に勢いがある。
  
全体的に俯している(俯さないものもあるが、希少)。
通常の背文銭   
冠は外輪に近く、やや右肩上り。
見の目画が縦に長く、やや俯す。
  
ノ爪はさほど大きくはない。

  
通頭が「コ」となっている。
辵の先端部に勢いがない。
  
直立している。


 彫りの深い背文銭を見て、寛字に違和感を感じたら、通字の頭を見る。 これが島屋銭の見つけ方の極意でしょうか。
 ただし、島屋銭は極々希少。 宝くじ券の中から1等、2等を見つけるのに近い難易度です。

 2025.11.8